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スペシャリティ考 2

ただでさえ更新が遅いのに、年末の製造スケジュールに追われて、大忙し。
下請け焙煎屋は、辛い。

もう一度ブラジルの精選加工に付いて詳しく書こう。

収穫された実は、先ず天日乾燥用(パティオ)に集められる。
ここで広げて、グランド慣らしのようなもので、何度も何度もかき混ぜながら徐々に干していく。

夕方、少しずつ集めて小山を作り、シートをかぶせる。中で昼間の余熱で豆が蒸され全体が均一の乾き具合になっていく。
これを1週間から2週間繰り返し最後にドライヤーに投入して水分調整をする。

さてこのパティオ、
古くは、日干しレンガ敷き、続いてセメントそれから最近はアスファルトも増えてきているらしい。
さらには棚干しも・・・

私がいたブラジルの農園では、セメント敷きと日干し煉瓦敷きの両方があった。

日干し煉瓦のほうが、褐色で太陽熱の吸収も高く、何より水分のしみ込みも良く乾きが早かった。

だが強度の弱い日干しレンガは、すぐ割れて補修が大変だった。割れたかけらも豆に混入してしまう。

一方セメント敷きは強度の高さから、かき混ぜたり集めたりをトラクターでやっていた。
割れ、つぶれ豆には目をつぶってとにかく素早い作業を優先させてた。

それとアスファルト。
実際に見たわけじゃないから何ともいえないがちょっと臭いが気になる。

棚干しは、果肉を除去したパーチメントの乾燥に使われ2度目の某国農場でもやっていた。
不意の雨にもシートを被せやすく便利だったが、飽くまでも簡易的な使い方で、セメント敷きが、一杯になったときだけ使っていた。

一応飲み比べてみたが、味覚の優劣は別の話で明らかに棚干しのほうが軽く感じた。

ブラジルでの煉瓦敷きとセメント敷きののみ比べはやっていないから一概に言えないが、天日方法でも味は随分違うと思う。

もっと味覚にとって重要なのは、乾燥後のコッコ(ドライチェリー)なりパーチメントでの熟成期間だろうな。

この熟成に関しても飲み比べの経験無く、何とも言えないが、
高品質の豆ほど輸出直前に脱殻するらしい。

作業重視なのか、品質重視なのかオリジンの品質向上に大きく関わっているのは確か。
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19:08 | スペシャルティ考 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

スペシャルティ考 1

トンキチさんからのブラジルでの「手摘み」「完熟」質問に応えて。
雨期乾期が、はっきりしている彼の地では「開花」時期が1~2週間のうちにほぼ一斉で、その後の生育状況の差もあるが、毎年6~7月に収穫している。
この辺りの話は色んな本にも出てくるから単なるマエフリ。

自分のいた農園で、牧場を挟んで他のコーヒー植え付け地より標高で100m程高い圃場が1カ所あった。

わずか100m差とはいえ、他よりも開花・生育は少し遅い(標高が高いほど味が強く高品質の可能性が高い)。
それでいつも、収穫は1番最後で8月以降にずれ込んでしまう。

でもさすがにこの頃となると、樹上で完全にチェリーが完熟してひからびてしまっている。
当時はそれが、味覚と大きく関わっていることなど知るよしもなかった。

農園としても特にロットを分けて精選してもいなかったし、特別な物と言うような取り扱いはしていなかった。

大農園ともなると何百万本、その隣の農園も同程度、そのまた隣りも…
みんな一度に収穫が始まって、人集め自体一苦労。

収穫の遅くなった地域は嫌が上でも樹上完熟してますよ。

自分のいた農園でも最盛期になると2つの天日乾燥場じゃ間に合わず
労働者用のサッカーグランドも急場の乾燥場になった。
通常は2週間ほど乾燥させてからドライヤーで水分12%程度に調整して脱殻するが、雨模様だといきなり収穫品をドライヤーに放り込んだりと24時間態勢で品質無視に近かったな。

今なら恐らく、冒頭で記した、あの1カ所だけの単一ロットなら樹上完熟品としてかなりのプレミアムが付いたことだろう。

こんな時代から、今のプレミアム、スペシャルティへと移り変わってきたのだが、1にも2にもロット管理が大前提で、これが出来る農場となると、家族単位でやっているような小農場か、あちらこちらにいくつも農場や精選設備を持っている、大農場かのどちらかじゃないかな。

最初のブラジル・カップエクセレンスで上位入賞農園を見て驚いた。
自分が普段買っている農園が、3つも入っていた。
これらの農場は、輸出まで自社で手掛けているほどの大農園で、
さぞいい宣伝になったことだろう。

タイトルのスペシャルティ考は、実体験を元に自分なりの解釈を書いているまでで、違っていたらごめん。
13:20 | スペシャルティ考 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑