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年末大掃除でもなく10バッチも焙煎すればこの状態。
たった3日の休みのために、まだまだ年内焙煎は、続く。

果たしてこれがなんだか分かるかな?
これはアップ画像だが2cm角のマスが縦横各14個の正方形。

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12:11 | クイズ | comments (5) | trackbacks (0) | page top↑

豊作と裏作

コーヒーは、ミカンなど果樹と同じで隔年結果というの、ご存じだろうか?

1年目に実を付ける枝を伸ばし翌年、花が咲きやがて結実する。
だから毎年コンスタントに採れる訳じゃく豊作と裏作が交互に来る。

植え付けから収穫が出来る迄約3年、4年以降ピークを迎え、樹の先端をカットして高さを抑え7~8年で植え替える。

別に植え替え無くても収穫は出来るが下枝がだんだんと枯れ上がり樹を大きく育てても肥料を余分に取るだけだから、これぐらいのサイクルで植え替える。

もしくはカットバック・地上から50cm程度の高さで切り倒す。
そうすると幹の横から何本も徒長枝が出てくる。これは凄く成長が早いが、のちの剪定作業が大変で植え替えの方が後々の管理は楽。

ちなみに、実をつける節の間隔が短く、あまり大きくならない品種が、理想でその代表として良く知られているのはカチュ-ラやカツアイ。

毎年小ブロック単位で植え変えしているから、豊作のブロックと裏作のブロックがあって全体の収量は平均下するように思えるが、必ずどちらかに偏ってしまう。

これが不思議なところだ。

更に、不思議な事に、農園単位じゃなくその産地または国全体が同じように
豊作と裏作が出てしまう。

この差は、例えば近年のブラジルと世界全生産量の推移はおよそ以下の通り。

    ブラジル  全世界
01/02 3510万袋  11130万袋
02/03 5360万袋  12660万袋
03/04 3200万袋  10760万袋
04/05 4240万袋  11970万袋

とまあ、こんな感じ。

勿論、その年の栽培本数や、自然災害による変動も含まれているが、全体の3割強を占めるブラジルの裏作は世界の不足となる。

当然価格も変動するわけで、来年は裏作に当たるから、高くなる事が予想される。
お金のある人は、今のうちに買いだめをお勧めする。

まぁ、実際の価格変動の話になると、産地では前年の売れ残り、一方消費国の港湾在庫量等との兼ね合いもあり、よほどの自然災害でもない限り、大幅な高値になることはない。
本年10月のブラジル開花状況は、良好のようだ。

もっとも、プレミアム、スペシャルティ等と称する手間暇かけて作ったコーヒーは、そんな相場観など無縁である。
だから生産者の多くは、色んな特徴ある栽培や精選を取り入れ、切磋琢磨するわけだが、逆に自然災害で大不作となった場合、誰もそんな事しないだろう。






17:04 | コーヒー | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

忙中寒あり

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思わぬ大雪で本日、生豆の入荷が大幅に遅れて仕事にならず。

さて、焙煎機の煎り豆サンプルをすくうスプーン。
これの正式な名称を1番最初に当てた方に生豆「マラウィ・ゲイシャ種」500g進呈しよう。



18:45 | クイズ | comments (6) | trackbacks (0) | page top↑

スペシャリティ考 2

ただでさえ更新が遅いのに、年末の製造スケジュールに追われて、大忙し。
下請け焙煎屋は、辛い。

もう一度ブラジルの精選加工に付いて詳しく書こう。

収穫された実は、先ず天日乾燥用(パティオ)に集められる。
ここで広げて、グランド慣らしのようなもので、何度も何度もかき混ぜながら徐々に干していく。

夕方、少しずつ集めて小山を作り、シートをかぶせる。中で昼間の余熱で豆が蒸され全体が均一の乾き具合になっていく。
これを1週間から2週間繰り返し最後にドライヤーに投入して水分調整をする。

さてこのパティオ、
古くは、日干しレンガ敷き、続いてセメントそれから最近はアスファルトも増えてきているらしい。
さらには棚干しも・・・

私がいたブラジルの農園では、セメント敷きと日干し煉瓦敷きの両方があった。

日干し煉瓦のほうが、褐色で太陽熱の吸収も高く、何より水分のしみ込みも良く乾きが早かった。

だが強度の弱い日干しレンガは、すぐ割れて補修が大変だった。割れたかけらも豆に混入してしまう。

一方セメント敷きは強度の高さから、かき混ぜたり集めたりをトラクターでやっていた。
割れ、つぶれ豆には目をつぶってとにかく素早い作業を優先させてた。

それとアスファルト。
実際に見たわけじゃないから何ともいえないがちょっと臭いが気になる。

棚干しは、果肉を除去したパーチメントの乾燥に使われ2度目の某国農場でもやっていた。
不意の雨にもシートを被せやすく便利だったが、飽くまでも簡易的な使い方で、セメント敷きが、一杯になったときだけ使っていた。

一応飲み比べてみたが、味覚の優劣は別の話で明らかに棚干しのほうが軽く感じた。

ブラジルでの煉瓦敷きとセメント敷きののみ比べはやっていないから一概に言えないが、天日方法でも味は随分違うと思う。

もっと味覚にとって重要なのは、乾燥後のコッコ(ドライチェリー)なりパーチメントでの熟成期間だろうな。

この熟成に関しても飲み比べの経験無く、何とも言えないが、
高品質の豆ほど輸出直前に脱殻するらしい。

作業重視なのか、品質重視なのかオリジンの品質向上に大きく関わっているのは確か。
19:08 | スペシャルティ考 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

スペシャルティ考 1

トンキチさんからのブラジルでの「手摘み」「完熟」質問に応えて。
雨期乾期が、はっきりしている彼の地では「開花」時期が1~2週間のうちにほぼ一斉で、その後の生育状況の差もあるが、毎年6~7月に収穫している。
この辺りの話は色んな本にも出てくるから単なるマエフリ。

自分のいた農園で、牧場を挟んで他のコーヒー植え付け地より標高で100m程高い圃場が1カ所あった。

わずか100m差とはいえ、他よりも開花・生育は少し遅い(標高が高いほど味が強く高品質の可能性が高い)。
それでいつも、収穫は1番最後で8月以降にずれ込んでしまう。

でもさすがにこの頃となると、樹上で完全にチェリーが完熟してひからびてしまっている。
当時はそれが、味覚と大きく関わっていることなど知るよしもなかった。

農園としても特にロットを分けて精選してもいなかったし、特別な物と言うような取り扱いはしていなかった。

大農園ともなると何百万本、その隣の農園も同程度、そのまた隣りも…
みんな一度に収穫が始まって、人集め自体一苦労。

収穫の遅くなった地域は嫌が上でも樹上完熟してますよ。

自分のいた農園でも最盛期になると2つの天日乾燥場じゃ間に合わず
労働者用のサッカーグランドも急場の乾燥場になった。
通常は2週間ほど乾燥させてからドライヤーで水分12%程度に調整して脱殻するが、雨模様だといきなり収穫品をドライヤーに放り込んだりと24時間態勢で品質無視に近かったな。

今なら恐らく、冒頭で記した、あの1カ所だけの単一ロットなら樹上完熟品としてかなりのプレミアムが付いたことだろう。

こんな時代から、今のプレミアム、スペシャルティへと移り変わってきたのだが、1にも2にもロット管理が大前提で、これが出来る農場となると、家族単位でやっているような小農場か、あちらこちらにいくつも農場や精選設備を持っている、大農場かのどちらかじゃないかな。

最初のブラジル・カップエクセレンスで上位入賞農園を見て驚いた。
自分が普段買っている農園が、3つも入っていた。
これらの農場は、輸出まで自社で手掛けているほどの大農園で、
さぞいい宣伝になったことだろう。

タイトルのスペシャルティ考は、実体験を元に自分なりの解釈を書いているまでで、違っていたらごめん。
13:20 | スペシャルティ考 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

収穫機

自己紹介のコーヒー収穫機、実は記念すべきブラジルでの第一号機。
この年、初めて実用試験的に私がいた南ブラジル農園と小室さんのコロラド農園に各1台初めて導入された。

日系の農機具メーカで、アメリカの干しぶどう用?(ちょっと記憶が曖昧)の収穫機械をヒントに作られたとのこと。

車の洗車機によく似ていて両サイドはグラスファイバーの棒が、何本も振動しながら回転している。
樹の高さは大体2m程だから運転席の見晴らしはかなりいい。
下に落ちた実は、コンベアーで運ばれて袋にはいるようになっている。

元々ブラジルでの収穫作業は樹の下に布を敷き枝1本1本自転車のチューブを巻いた手でしごいて布に落とし集める。

1本辺りチェリーで3~5kgぐらい。作業に慣れない当方は1本に1時間以上かかって手が痛くて泣けてきた。

住み込み労働者の家族は勿論、町からも大勢の日雇い労働者がやってきて、いくら安い人件費でも
収穫に掛かるコストは全支出の3割にも達するという。

だからこの機械のデモンストレーションは革新的な事で、大勢の農園オーナーも見学に来ていた。
よく故障してたけど。

帰国後、この機械がどんどん復旧したら、地面の実を落とさなくなるからブラジルの土臭い香は数年後に消えるとよく話していた。
これは確かに当たっていたけど、どちらかというと、セミウォッシュドでの精選が増えたからが正解だった。

話は変わるが、収穫作業で集まってくる労働者はファベイラ(貧民窟)の人々なんだけどその中に日系人なんかも混じっていたりすると勝手にその生活を想像して何か物悲しいと言うか顔を見るのが辛かった。

16:39 | コーヒー | comments (6) | trackbacks (0) | page top↑

農園の1日

これまでは、エピローグのつもりで書いていたけど、焙煎屋ネタの切り口が美味く浮かばないから、またまたブラジルに戻ろう。

午前7時起床、着替えて目の前の圃場に出て農作業。
植え付けや収穫時期以外は草刈りだったり、作業道路の補修だったりと特に決まっちゃいない。ひたすら単純作業。

午前10時、朝昼兼用の食事(アルモッサ)。

午後3時、カフェタイム(パンとコーヒー)
どちらも朝、弁当にして貰って現場で食べる。
午後5時作業終了。

午後6時、夕食(ジャンター)

夜はポルトガル語の勉強。

食費、宿舎代はただで給料は円換算で2万円程度。

町へ出るなんて殆どなかったから、お金の使い道がない。
帰国前、アマゾンへの旅行代になったかな。

さて本題、農園にいるからといっても普段飲むコーヒーはくず豆。

良品はすべて輸出、くず豆は国内消費、これが基本。

農園では深い目の鉄鍋で焙煎(勿論深煎り)。すりこぎでの押しつぶし(かなり細挽き)を直接お湯に入れて煮出す。吹き出しては火を止め、これを3回ぐらい繰り返す。

それをネルで漉して多い目の砂糖を入れてデミタスで飲む。

ただただ苦くて甘いだけのコーヒー。

乳牛も飼っていてしぼり立ての牛乳で作るカフェオレは美味かった。
ただ牛乳があまりにも濃すぎてよく下痢したな。

他の産地も似たような物で発展途上国の悲哀と言うか典型的な南北問題。

とは言えこれになれた人がこちらへへ来るとかなり物足りないらしい。





12:27 | コーヒー | comments (4) | trackbacks (0) | page top↑

某国にて

最近のコロンビアは、やたら酸味が強くもう取り扱わない焙煎屋さんもあると聞く。
これは、耐さび病品種のバリエダ種(典型的な豆の形状はフラット面が少し角張って見える)への切り替わりによるところが大きい。

日本での焙煎屋修行を終えてから某国の山中でコーヒー栽培に復帰した。

ここは、今も事業継続しており、既に部外者となった自分のコメントで迷惑かけるといけないから、国、地域は伏せさせてもらう。

事業は開発当初に植え付けた樹は既に成木になってはいたが、ようやくすべての開墾事業をやり遂げ苗の植付けが終わったところだった。

平坦な圃場で機械化の進んだブラジルとは打って変わって、ここは急激な斜面で機械化は不可能。
まぁ、機械があったところでオペレターから養成しなければならない。
除草は蛮刀を振り回してやるから、とても恐ろしい。
何から何まで手作業のみ。
ブラジルで学んだことは何の役にも立たなかった。

人手は山奥すぎて集まらず、農園の規模は平面で600ha実際の圃場は起伏にとんでいてその倍はあろうかというぐらい。

案の定、管理の行き届かなさ過ぎから、「サビ病」(葉の裏側に黄色い花粉状の斑点が出来、葉が落ちてしまう)の大発生。
多くの樹が枯れてしまった。

もともと、罹病地帯には違いなかったが、こんなにすさまじいとは夢にも思わなかった。
ブラジルの霜害も惨めだったが、「サビ病」は防除薬はあっても罹病後の特効薬が無く補植と成木も収穫をあきらめ青実の段階で廃棄。
その後、大量施肥による樹勢の回復を待つ意外打つ手無し。 

味の良さからティピカ種を採用したが、病気に弱く苦戦続きの毎日だった。

そんなことの繰り返しだったが、健康な樹に成長した今は
地域一番のコーヒー農園になったと聞く。

あの頃、耐さび病品種に切り替えていたらきっと今の名声もなかったと思う。
07:24 | コーヒー | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

まるで大豆畑…

前回、植付け直後の圃場はまるで大豆畑…

これの何が英知なのか。

大豆→豆科 これが味噌。

豆科植物の根には、窒素根粒菌と言う細菌が繁殖して、土壌中の窒素分を溜め込む。当然これら養分はコーヒーの樹にも多大な恩恵を受ける。

特に熱帯、亜熱帯の場合、突然のスコールによって肥沃な表土が流される恐れが多々ありエロージョン(土壌流亡)の防止効果にも有効だ。

またコーヒーの樹は、日陰を好み、直射日光の下では、光合成が激しく樹が疲労しする。
だからブラジルの場合、樹を密植させてお互いの枝で直射日光をさえぎるようにしている。

その他の地域だと圃場内に背の高い樹を植え付けて日陰を作ってやっている。
そんな木をシェードツリーと読んでいるが、これも豆科の大木が使われる事が多い。

地上では直射日光をさえぎり、地下では養分を集めてくれると言うベストパートナーだな。

上手く考えた物だ。
17:20 | コーヒー | comments (4) | trackbacks (0) | page top↑

セラード地帯

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最近ブラジルコーヒーの名称としてよくセラードコーヒーというのを耳にすることが多くなってきた。
セラードとはかってのコーヒー主栽培地のパラナやサンパウロ州よりさらに北部(南半球ですから北へ行くほど暑い地域になる)のミナスジェライスに広がる見渡す限り平坦な草原地帯。

しかも標高1000m以上で、霜害の心配も少なく、灌漑用水も潤沢で機械化された大農場には、もってこいの条件がそろってる。

ところが同地帯は、強酸性土壌のため、作物は先ず育たず、冒頭の写真のようなグネグネ曲がった奇妙な枝の潅木が所々にある程度。

草原だから開墾は、たやすいが石灰の大量投入による土壌の中和から始めねばならない。
文章で書けば簡単だが、個人ではとうてい無理な話で国家的な大事業として数十年の歳月を要した。

ここには1週間ほどの滞在だったが、みなさん希望に燃えて開墾に精を出してたな。

コーヒーもぼちぼち植え付けだした頃で、幼樹が多く見られた。
本格的な収穫となると最低4年は、掛かるから、
植付け間隔には大豆が栽培されており、さしずめ大豆畑にコーヒーの樹が植わっている感じ。

当面の生計を立てる事が、主目的だが、何故大豆なのか?
実は素晴らしい英知が込められている。
この話は後日することにしよう。

余談だがセラード地帯の見学は、Hさんと言う老人に招かれた。
氏は70才を過ぎてから九州から、同地に移住された。
ここで若い移住者に土地を貸して大成させるよう協力されていた。

「欲しかったらあげる」という姿勢には、大変感銘を受けた。
自分もこんな志でと思いつつ未だ…

勿論、誘われたが前述の通り、焙煎屋の方に傾いていたから、断った。

あのまま当地のとどまれば、大農家も夢ではなかったかも…。


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霜害

 
1979年6月1日、サンパウロ・モジアナ地方の農場にいた。
そこでコーヒー相場を左右する霜害が起こった。

突然の寒気団でこの前日の夜、とても寒くて、しかも、翌朝、霜が降りるのは確実にわっかていたが(農業用語では、植物の樹液が凍ることを指します)、どうすることも出来ない。

1000haからの広さでは、焚き火などの予防処置もままならない。

寒くて悔しくて殆ど眠れない。

 翌朝、農場を見て回りましたが、一見、樹は前日と変わりなく見えた。
だが、枝の新芽が殆どやられてしまった。
2~3日たつとこれら新芽や葉っぱが茶色く変色して枯れてしまい、これで翌年の収穫は、大減産、惨めなものでした。

近隣農場では、植え付け後3年目で翌年には、初めての収穫が見込まれていたのに、すべてパー。
オーナーは樹にしがみついて泣き崩れたと聞いた。
一夜にして破産ですから。

世界の3分の1の生産量を誇る国ですから、たった1日でコーヒー価格は大暴騰。
この後、サントスのコーヒー仲買人が被害調査に来て、聞いた話では、降霜の1週間前、アメリカからコーヒーの大量買い付けがあったそうです。
まだ気象衛星などない時代ですから、アメリカのすごさが、もっぱら話題となりました。
 ちなみに、この地方の気象データ-は、実は私が農場で毎日とって、町に報告していた。・・・今は違うと思うが、観測施設(最高気温、最低気温と降水量)が他になかった。


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