Like a~ 3
2006 / 02 / 26 ( Sun )
前回、大手焙煎メーカーさんの品質の優位性について書いたが、もう少し話を続ける。
自家焙煎店さんの多くは、ハンドピックの重要性についてしきりに説いており、大手焙煎メーカーさんは、これをやっていない。
と言ったメッセージをよく見かけるが、大手もちゃんとやっている。
入荷した豆は、一旦処理場に持ち込まれる。
ここで麻袋から出して、豆に混入している石や木片等夾雑物を取り除く。
この時、豆表面に付着しているシルバースキンや土埃も軽くではあるが、取り除く(強くポリッシュすると豆が割れてしまう)。
これをやると、抽出液の濁りは少なくなり、クリアーな味わいとなる。
その後、コンテナに詰め替えられて工場へ向かう。
更に工場では焙煎豆の袋詰め後、金属探知器でチェックは怠りなくやっている。
大体そんな感じで余り知られてないが、やることはやっている。
それでも最終製品に、未完熟豆とか目立つ為に、大手はやっていないと言うことになる。
だが、買い付けの味覚審査は、有るがままの状態でやるわけで、ハンドピックしてから試す訳じゃない。
全ては試飲後の判断で豆の見栄えなんかは関係ない。
かけ出しの頃、エチオピア・ナチュラル(モカ)の見栄えの悪さの割に
優雅な香りを醸し出していることから、ハンドピックしたらもっと美味しくなるんじゃないかと、何度も試してみたがハンドピック前の方が、美味しかった。
深く考えたことはないが「味覚のバランス」というのはそんな物なのだろう。
逆に言えば、大手が買わなかった豆は、ハンドピックして見栄えを良くしたところで美味く成らないとも言える。
ちなみに、大手の取り扱うモカは、輸出業者に産地やグレード指定が徹底しており
タイプ○○社と麻袋に記載されている程で品質はかなり安定している。
とまあ、これまで大手の優位性について書いては見たが、実際の味覚となるとマニアには大いに不満なようだ。
その辺りを何時かは詳しく書いてみたいが、今は思惑ありげで終わらせることにする。
自家焙煎店さんの多くは、ハンドピックの重要性についてしきりに説いており、大手焙煎メーカーさんは、これをやっていない。
と言ったメッセージをよく見かけるが、大手もちゃんとやっている。
入荷した豆は、一旦処理場に持ち込まれる。
ここで麻袋から出して、豆に混入している石や木片等夾雑物を取り除く。
この時、豆表面に付着しているシルバースキンや土埃も軽くではあるが、取り除く(強くポリッシュすると豆が割れてしまう)。
これをやると、抽出液の濁りは少なくなり、クリアーな味わいとなる。
その後、コンテナに詰め替えられて工場へ向かう。
更に工場では焙煎豆の袋詰め後、金属探知器でチェックは怠りなくやっている。
大体そんな感じで余り知られてないが、やることはやっている。
それでも最終製品に、未完熟豆とか目立つ為に、大手はやっていないと言うことになる。
だが、買い付けの味覚審査は、有るがままの状態でやるわけで、ハンドピックしてから試す訳じゃない。
全ては試飲後の判断で豆の見栄えなんかは関係ない。
かけ出しの頃、エチオピア・ナチュラル(モカ)の見栄えの悪さの割に
優雅な香りを醸し出していることから、ハンドピックしたらもっと美味しくなるんじゃないかと、何度も試してみたがハンドピック前の方が、美味しかった。
深く考えたことはないが「味覚のバランス」というのはそんな物なのだろう。
逆に言えば、大手が買わなかった豆は、ハンドピックして見栄えを良くしたところで美味く成らないとも言える。
ちなみに、大手の取り扱うモカは、輸出業者に産地やグレード指定が徹底しており
タイプ○○社と麻袋に記載されている程で品質はかなり安定している。
とまあ、これまで大手の優位性について書いては見たが、実際の味覚となるとマニアには大いに不満なようだ。
その辺りを何時かは詳しく書いてみたいが、今は思惑ありげで終わらせることにする。
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麻袋
2006 / 02 / 22 ( Wed )
’03年9月4日、ブラジル産コーヒー豆の輸入時検査で、残留基準
を超える有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が、検出されてから、麻袋にこんなシールが張ってあるのが目に付く。

2kも抜き取るとはどんな検査なのか興味深いが、
我々の段階では、ちゃんとやってるんだな。
と言う程度しか分からない。
それと、先月入荷したブラジルの麻袋には、こんなのが記載されていた。
これは初めて見た。

PINHEIROは、ポルトガル語で「松」。これじゃ下とは、つながらない。
ひょっとしたら地名とかの固有名詞かも知れない。
下段は英語で
HIDROCARBONは炭化水素。
メタンなど炭素原子と水素原子だけでできた化合物の総称で
これだけじゃ、どんな物質を指すのか分からない。
FREEは含まないとでも訳すのだろうか?
つたない語学力ではこれが精一杯。
数社の輸入元に聞いてみて1社から返事はあったが他からの返事はない。
そこの回答は「抗物性油は含まない」とのこと。
????ますます分からない。先方に改めて聞き直したが…返事はない。
ネットで調べてみたが、ヒットしない。
以上中途半端なレポートになってしまったが、どなたか知って見える方はご一報を。
を超える有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が、検出されてから、麻袋にこんなシールが張ってあるのが目に付く。

2kも抜き取るとはどんな検査なのか興味深いが、
我々の段階では、ちゃんとやってるんだな。
と言う程度しか分からない。
それと、先月入荷したブラジルの麻袋には、こんなのが記載されていた。
これは初めて見た。

PINHEIROは、ポルトガル語で「松」。これじゃ下とは、つながらない。
ひょっとしたら地名とかの固有名詞かも知れない。
下段は英語で
HIDROCARBONは炭化水素。
メタンなど炭素原子と水素原子だけでできた化合物の総称で
これだけじゃ、どんな物質を指すのか分からない。
FREEは含まないとでも訳すのだろうか?
つたない語学力ではこれが精一杯。
数社の輸入元に聞いてみて1社から返事はあったが他からの返事はない。
そこの回答は「抗物性油は含まない」とのこと。
????ますます分からない。先方に改めて聞き直したが…返事はない。
ネットで調べてみたが、ヒットしない。
以上中途半端なレポートになってしまったが、どなたか知って見える方はご一報を。
Like a~ 2
2006 / 02 / 18 ( Sat )
「Like a~ 1」の続き。
何故、微細なコーヒーの香が、買い付けの味覚審査に、必要ないか?
今は、単一農園での販売が当たり前のようになってきているが、これは単なる余興でしかない。
元を正せば農産物。毎年味が違っていて当たり前。
だが、定番商品のブレンドはそう言うわけに行かない。
常に一定の味と言うのが前提で、生豆の仕入に際し
①コーヒーとして好ましくない味があっては成らない。
②同一ロットにおいて味がばらつかない。
③値段相当の味。
それとちょっとおかしな話だが、格別そのロットが美味すぎても困る。
次のロットとのギャップが大きすぎてしまう恐れがある。
要約するとこの3つだけなんだが、この条件をクリアーするロットは
案外少ない。
持ち込まれるサンプルの3分の1程度。
それぐらいコーヒーの品質は不安定。
ここで話している、コーヒーはプレミアムやスペシャルティの事ではなく、俗に言うコマーシャルコーヒーに関してだが、これら条件をクリアーしたものは、プレミアムに匹敵すると思う。
独立して、これらコマーシャルのトップクラスが、大手に先取りされてしょうがなしに少量で大手が手を出したがらないプレミアムを取り扱い出したが、それでも前述の条件を満たす玉はおおくない。
マイクロロースターレベルの仕入れられるコーヒーなんてそんなもの。
独立前から、この現実は分かっていたが、自分の過去を言わずに生豆問屋さんと接触すれば、有ること無いことでたらめのオンパレード。
良いように自家焙煎店レベルなら丸め込めると思っているらしい。
いい加減な産地情報やただ外観が綺麗なだけの生豆に直面するとやはり寂しい。
しょうがないから、大手の下請けをやり出してその中で気に入ったのを自家販売用に分けて貰っている。
良い豆の確保は、川上を知れば知るほどけっこう骨が折れる。
何故、微細なコーヒーの香が、買い付けの味覚審査に、必要ないか?
今は、単一農園での販売が当たり前のようになってきているが、これは単なる余興でしかない。
元を正せば農産物。毎年味が違っていて当たり前。
だが、定番商品のブレンドはそう言うわけに行かない。
常に一定の味と言うのが前提で、生豆の仕入に際し
①コーヒーとして好ましくない味があっては成らない。
②同一ロットにおいて味がばらつかない。
③値段相当の味。
それとちょっとおかしな話だが、格別そのロットが美味すぎても困る。
次のロットとのギャップが大きすぎてしまう恐れがある。
要約するとこの3つだけなんだが、この条件をクリアーするロットは
案外少ない。
持ち込まれるサンプルの3分の1程度。
それぐらいコーヒーの品質は不安定。
ここで話している、コーヒーはプレミアムやスペシャルティの事ではなく、俗に言うコマーシャルコーヒーに関してだが、これら条件をクリアーしたものは、プレミアムに匹敵すると思う。
独立して、これらコマーシャルのトップクラスが、大手に先取りされてしょうがなしに少量で大手が手を出したがらないプレミアムを取り扱い出したが、それでも前述の条件を満たす玉はおおくない。
マイクロロースターレベルの仕入れられるコーヒーなんてそんなもの。
独立前から、この現実は分かっていたが、自分の過去を言わずに生豆問屋さんと接触すれば、有ること無いことでたらめのオンパレード。
良いように自家焙煎店レベルなら丸め込めると思っているらしい。
いい加減な産地情報やただ外観が綺麗なだけの生豆に直面するとやはり寂しい。
しょうがないから、大手の下請けをやり出してその中で気に入ったのを自家販売用に分けて貰っている。
良い豆の確保は、川上を知れば知るほどけっこう骨が折れる。
焙煎屋の小道具
2006 / 02 / 11 ( Sat )
ホームセンターで見つけた、3Lペール缶。
これが随分重宝している。

ご覧の通り生豆をすり切り入れると約2K。

そして、焙煎豆を入れるとすり切り約1K。

3L=生豆:約2K=焙煎豆:約1K
各オリジン、焙煎深度による違いはあるがおおよそこんな感じ。
単に、焙煎すると生豆が約2倍に膨らむだけの事だが、
何が便利かというと、一連の焙煎に伴う生豆の投入、焙煎後のブレンド作業において、秤をいちいち使う必要がない。
勿論、生豆、焙煎豆用に各1個を使い分けている。
コーヒーの体積と重量の関係を覚えたのは、産地だった。
奥地へ入ると、秤がない。
売り買い単位は1Lマス1杯でいくらとなる。
含水率が違うから、それはそれで理にかなってはいるが、
山積みのコーヒーをいちいち売る側、買う側それぞれ立ち会いの元、
延々と数えていく大変な作業。
1Lマス10杯で何キロになるから、全体の重量から何杯になるかは、
簡単に計算できるわけだが、そんなこと信じてもらえない。
商習慣の違いは恐ろしい。
これが随分重宝している。

ご覧の通り生豆をすり切り入れると約2K。

そして、焙煎豆を入れるとすり切り約1K。

3L=生豆:約2K=焙煎豆:約1K
各オリジン、焙煎深度による違いはあるがおおよそこんな感じ。
単に、焙煎すると生豆が約2倍に膨らむだけの事だが、
何が便利かというと、一連の焙煎に伴う生豆の投入、焙煎後のブレンド作業において、秤をいちいち使う必要がない。
勿論、生豆、焙煎豆用に各1個を使い分けている。
コーヒーの体積と重量の関係を覚えたのは、産地だった。
奥地へ入ると、秤がない。
売り買い単位は1Lマス1杯でいくらとなる。
含水率が違うから、それはそれで理にかなってはいるが、
山積みのコーヒーをいちいち売る側、買う側それぞれ立ち会いの元、
延々と数えていく大変な作業。
1Lマス10杯で何キロになるから、全体の重量から何杯になるかは、
簡単に計算できるわけだが、そんなこと信じてもらえない。
商習慣の違いは恐ろしい。
Like a~1
2006 / 02 / 06 ( Mon )
今年、48になる。
20才でブラジルに渡り、クラシフィカドール(コーヒー鑑定士)を目指していた話は、はじめに書いたが、40を過ぎた当たりから目、鼻、舌とだんだん感覚が怪しくなってきた。
頭の中に、味覚の記憶はあるが、どうもセンサーの関知が悪い。
ひょっとしたら、独立して何もかも自分でやり出した30才ぐらいからこんな状態だったのかも知れない。
大きな味覚上の欠点や、柑橘系チョコレート系フレーバーについてはまだまだ採れるつもりだが、高級なマンデリンにあるミルクのような香りや花のような香、これが採れない。
頭の中にはそれらの香りの記憶が鮮明にあるが…。
20代の頃、食事は薄味、香辛料の類も一切口にせず、早寝早起きは当たり前。風邪で鼻が詰まろうものなら大目玉。
そんな仙人のような生活で毎日の買い付け審査に臨み、それぞれの味覚についてディスカッションにおいて、例え1ロット1000袋、500袋もの大型契約であっても年配の上司よりも自分のような若者の意見がかなり通った。
出入りの商社担当者から数千万円の商いだからチヤホヤされて一時は有頂天になったものだが、この年になって初めて何故、自分の意見が通るか、理由がわかってきた。
個人差はあるだろうが…
これはやっぱり悲しいな。
前置きはこれぐらいにして、修業時代は商社から持ち込まれるタイプサンプルの審査は「発酵臭」「リオ」「リオイ」と言ったブラジルの欠点方式のカップテストが主流で今のような味覚の得点方式とは違った。
味覚審査のレポートは、社内的には日本語で記載していたが、輸出業者向けにはどんなコーヒーがほしいか理解して頂きたく英文に書き直して送付していた。
ある時、産地のシッパーが来社して、ヨーロッパの某老舗ロースターの味覚審査表を見せて頂いた。
我々の欠点方式のレポートじゃなくLIKE A~で始まる味覚表現が100近くあり、例えば「グレープフルーツのような」「カシスのような」と言った調子で中には「粘土混じりの土埃」「「○○社のブラックチョコ」とか、さっぱり意味不明のものまであった。
今、主流の得点方式の味覚審査の原型は、少なくとも20数年前にはヨーロッパに存在していた。
これ以降、「Like a~」と言った一つ一つの味覚を仲間内で意識して学び出した。
今思うと、この仲間内の意見交換というのが、微細な香を知る上で非常に役に立った。
独立して意見交換の場が亡くなったのは、今の自分にとっては大きな痛手となったようだ。
だが、実務上のレポートは相変わらず欠点方式だった。
その辺りの話はまた次回とさせて頂くが、今月は値上げ交渉とそれに伴う買いだめ受注に追われて大忙し、次回が何時に成るやら。
20才でブラジルに渡り、クラシフィカドール(コーヒー鑑定士)を目指していた話は、はじめに書いたが、40を過ぎた当たりから目、鼻、舌とだんだん感覚が怪しくなってきた。
頭の中に、味覚の記憶はあるが、どうもセンサーの関知が悪い。
ひょっとしたら、独立して何もかも自分でやり出した30才ぐらいからこんな状態だったのかも知れない。
大きな味覚上の欠点や、柑橘系チョコレート系フレーバーについてはまだまだ採れるつもりだが、高級なマンデリンにあるミルクのような香りや花のような香、これが採れない。
頭の中にはそれらの香りの記憶が鮮明にあるが…。
20代の頃、食事は薄味、香辛料の類も一切口にせず、早寝早起きは当たり前。風邪で鼻が詰まろうものなら大目玉。
そんな仙人のような生活で毎日の買い付け審査に臨み、それぞれの味覚についてディスカッションにおいて、例え1ロット1000袋、500袋もの大型契約であっても年配の上司よりも自分のような若者の意見がかなり通った。
出入りの商社担当者から数千万円の商いだからチヤホヤされて一時は有頂天になったものだが、この年になって初めて何故、自分の意見が通るか、理由がわかってきた。
個人差はあるだろうが…
これはやっぱり悲しいな。
前置きはこれぐらいにして、修業時代は商社から持ち込まれるタイプサンプルの審査は「発酵臭」「リオ」「リオイ」と言ったブラジルの欠点方式のカップテストが主流で今のような味覚の得点方式とは違った。
味覚審査のレポートは、社内的には日本語で記載していたが、輸出業者向けにはどんなコーヒーがほしいか理解して頂きたく英文に書き直して送付していた。
ある時、産地のシッパーが来社して、ヨーロッパの某老舗ロースターの味覚審査表を見せて頂いた。
我々の欠点方式のレポートじゃなくLIKE A~で始まる味覚表現が100近くあり、例えば「グレープフルーツのような」「カシスのような」と言った調子で中には「粘土混じりの土埃」「「○○社のブラックチョコ」とか、さっぱり意味不明のものまであった。
今、主流の得点方式の味覚審査の原型は、少なくとも20数年前にはヨーロッパに存在していた。
これ以降、「Like a~」と言った一つ一つの味覚を仲間内で意識して学び出した。
今思うと、この仲間内の意見交換というのが、微細な香を知る上で非常に役に立った。
独立して意見交換の場が亡くなったのは、今の自分にとっては大きな痛手となったようだ。
だが、実務上のレポートは相変わらず欠点方式だった。
その辺りの話はまた次回とさせて頂くが、今月は値上げ交渉とそれに伴う買いだめ受注に追われて大忙し、次回が何時に成るやら。
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