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遠赤外線焙煎

久々にコーヒー屋さんのURLをネットサーフィンしてみた。

個人攻撃するつもりは毛頭ないが、「遠赤外線焙煎コーヒー」なる商品名が目に留まった。

懐かしいネーミングに、ちょっと笑ってしまった。

もう20年近く前の話。

この顛末は、コーヒー屋仲間ではかなり有名な笑い話。

丁度、「遠赤外線」ブームの折でこれを使った調理器具がどんどん商品化されてた頃。

某大手飲料メーカーから、この商品名で缶コーヒーが発売された。
TVCMもジャンジャン流れて結構話題の商品だった。

だがすぐに発売中止になった。

販売不振とかそういう以前の問題。

理由は「商品に偽りあり」

遠赤外線焙煎コーヒー=遠赤外線で焙煎したコーヒー
と取れる。

遠赤外線は電磁波であって熱源ではない。

したがって、遠赤外線では物は焼けない。→「商品に偽りあり」。

遠赤外線の効果については興味があればネットで検索してみてください。


知識のない宣伝屋が単純にブームに便乗して先走った結果だろうな。

「遠赤外線効果」とすれば問題なかったのだが。

そう言えば、去年某ファーストフードのアイスコーヒーは「ダブルロースト」しているから香りが際立つ。
と宣伝していた。

これも腰が抜けそうになった。

ダブルロースト→二度焼き→豆は大きく膨らむが焙煎時間がかかる→
→香りの成分飛散大→香りの少ないコーヒー

と言うのが我々、焙煎屋の常識。

だがこのネーミングが宣伝屋には、心地いいのだろう。



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06:36 | コーヒー | comments (1) | trackbacks (0) | page top↑

パッカンコーヒー

はじめに断っておく。
これは、聞いた話で実際に試してはいない。
米で作る「ポン菓子」をご存知だろうか?

最近は実演販売とかほとんど見かけなくなったが、焙煎機に似た機械で米を密封したドラムに入れて下から火で焼くと「ドッカーン」と大音響とともに白煙を上げて米が数倍の大きさになって出てくる、あの菓子。


米には、わずかだが水分が含まれおり、。密封した容器に入れ、加熱すると内部気圧が高まる。それを一気に解放すると、細胞の間にあった水分が瞬時に気化して、細胞を破壊し膨張する。

ここまで読んだらもうお分かりかな。

これをコーヒー生豆で試したのが、焙煎を教えていただいたO氏。

他にも師匠はいるがO氏は、とにかく豆の膨らみにこだわる方だった。

個々の細胞を最大限に膨らます
 ↓
此処の細胞内を満遍なくお湯が通りやすい
 ↓
液量が増える
 ↓
芳醇な香りと濃厚コクのあるコーヒー

こんな感じの教え。

ただし、大きく膨らんだからと言って、すばらしい味覚のとは限らない。
コーヒーの味覚は、もっと奥が深い。
やはりそこには、素材の良し悪しが関わってくる。

そんな彼がが着眼したのが冒頭のポン菓子機。

嫌がるポン菓子屋さんをくどいて試したそうだがその結果は....。


残念ながら膨張とか何も変化なかったそうだ。

ポン菓子屋さんには、米に比べたら含数率が高すぎると言われたそうだ。

これでこの実験は終わったが、話はここで終わらない。


この時、使用した生豆は、小粒なサントスNO.4でこれをもう一度焙煎し直してみたところ、通常よりも膨らんだとのこと。…単なるダブルローストだと思う。

それを試飲したところ「ブルーマウンテン」のようだったと
言っていた。

これは、O氏のジョークだと思うが、試していない・飲んでいない俺としては、とやかく言える筋ではない。

機械が借り物じゃなかったら、水抜き後の膨らむ直前の豆で
もう一度試してみたかったとのことだった。

俺も機会があれば試して見たいと思ってはいるが、この話を聞いてから早20数年、経ってしまった。

結果はどうあれ、焙煎は独創的な発想がやはり大事だと思う。


17:19 | コーヒー | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

○%

ちょっと変なタイトルだが


さて本題。

ストレートコーヒーに同じ焙煎深度の別のオリジンを少しずつ混ぜていった場合、果たして何%まで入った時、明らかに味が変わったと
感じるだろうか?

個人差があるにはあるが、一般的な目安は○%。
この数字は我々焙煎業者にとっては大事な数字であえて公開しない。
興味があれば確かめてください。

ちなみにブレンドの話をしているわけではない。

農産物でしかも輸入品のコーヒーは、収量や為替と言った要因で
変動相場が当たり前。

ところが売価は、早々変えられない。

メーカーである以上、製造原価の推移と粗利の確保は宿命。
そこで、冒頭の○%が生きてくる。

定番のように思われているが、ブレンドの中身はそんな事情で年1回或いは2回、見直されている。
その際、この○%の範囲で調整される。
品質を落とすか、上げるかはその時の相場次第。

ちょうど、需要がホットコーヒーからアイスコーヒーへ切り替わる
この時期が一番、内容変更しやすい。

毎年、そんな変更が行われると、10年とか長いスパンで見た場合、
全く別物のブレンドになっている事もあり得る。

尤も、これは単価の10円20円の推移が総量で莫大な金額となるビッグロースターの話で我々のようなマイクロロースターにとって大した意味はない。

焙煎屋の持つデータは多岐に渡る。
焙煎データもその一つには違いないが、それよりもっと重要な非公開
データをいっぱいある。
ビックロースターさん程、こんな味覚に基づくデータをしっかり持っている。

裏付け無しにブレンドの構成や比率を決めているわけではない。













13:40 | コーヒー | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

焙煎梅雨バージョン

梅雨時の焙煎は、どうも調子悪い。

冬場は、熱が煙突から出ていきちょっと暖かい程度だが、
夏場は、焙煎機からの輻射熱で横にいるのも辛い。
だがこれは本題ではない。

連続焙煎の火力コントロールも若干の微調整がいるが、春先のような
朝から日中にかけての外気温の温度差の大きさによる火力の微調整に比べたら遙かに楽…これも大した問題じゃない。

問題は焙煎後の冷却と保管。

冬場に比べて2分は余分に掛かる。
それでも外気温以下には下がらないから、始末に悪い。

常温でも、香の成分はどんどん飛んでいってしまうから、外気温の高さは致命的。
当然、油の浮きも早い。

また冷却ファンは煙を吸い取る目的を兼ねているから「吸い風」で
雨降りだと湿気をどんどん豆が吸い込んでしまう。
だからちょっとでも冷却に時間をかけすぎると、湿気を含んだ手触りの
豆になってしまう。

この時期は、焙煎云々よりも冷却、保管には人一倍気を遣う。




20:23 | コーヒー | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑

リサイクル

配達中、ラジオを聴いていたら、最近は「蚊取り線香」を焚かなくなっているらしい。確かに我が家も使っていない。

コーヒーブログで冒頭から「蚊取り線香」の話。
変と言えば変。

でもこのラジオの話題を聞いていて忘れかけた記憶がよみがえった。

コーヒー生豆の表面や覆っている薄皮。これをシルバースキンまたはチャフと呼んでいる。

聞いた話では、これを専門に回収する業者がいる。
集めたこのチャフが「蚊取り線香」の原料になるらしい。

重量比でいえば1%にも満たない量だが、ガサはかなりのもので1日300Kも焙煎するとサントスの麻袋(60K入り)いっぱいの量となる。
更に、これをグラニュレーターで粉砕すればもう一袋チャフが排出される。
毎日、何十トンも焙煎する大ロースターならこの量が半端でないことは
容易に想像される。

チャフに防虫・殺虫効果があるのかあるいは単なる増量用なのか、詳しい事はきいていないが、燃やすともくもくと煙を出して長時間くすぶり続ける。
あれは確かに「蚊取り線香」を連想させる。

畑が趣味の我がおふくろはこの時期、虫除けにいつも畑で燃やしながら
作業をしている。

もちろん肥料として畑の畝に鋤き込んでいる。

他にも、某大手焙煎工場脇を通ったら施設内の植木の根元にコロンビアの麻袋が、何枚も重ねてマルチングしてあった。
雑草除けと施肥だと思うがうまく考えたものだと感心した。

もう一つ付け加えとこう。
最大手のUCCでは麻袋を加工して社員の名刺を作っている。

改めて再利用というのは、良い事だと思った次第。
11:42 | コーヒー | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

サンプル豆

生豆のサンプリング方法は、
仮に500袋が1ロットだとすると上下・左右それぞれの麻袋から
中が空洞の筒状で「刺し棒」と呼ばれる棒を刺し、少しずつ豆を抜き取る。
抜き取ったコーヒー豆を良くかき混ぜた物が、このロットのサンプルとなる。
それを約300gずつ小分けして、商社経由にて大手ロースター或いは、生豆問屋に渡る。
と言うのがおおよその流れ。

こんな大ロットが一括で買える所と言えば、この2ルート以外にない。
大手ロースターが買い付ければ、我々マイクロロースターには全く
流れてこない。
そんな話は、以前にも書いたからここでは省略。

生豆の買い付ける時はサンプルを取り寄せるわけだが、これにも色んな名称がある。

産地から直接買い付ける場合を例にとってみると。
輸出業者から、各ロット毎のサンプルが用意されている。
これがタイプサンプル。

この中から、ほしいものを選ぶ…買い付け。

次に、間違いなくそのロットが船積みされたか確認するために取り寄せるのが、シッピングサンプル。

日本に到着後、輸送中に異変がなかったか確認のため取り寄せるのが
アライバルサンプル。
赤道を越えて来るというのは、気候による変質、或いは嵐に遭遇して塩水をかぶってしまうとか危険性がかなり高い。

と言った具合でかなり神経を使う。
そう言った輸送中にダメージを受けたとしても決済はすんでいるのだから、クレームの出しようもなく、当然リプレイスも利かない。

そんなわけで、焙煎業者が産地に赴いて直接買い付けるのは、
かなりリスクを負う。



16:09 | コーヒー | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑