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スペシャルティ考 1

トンキチさんからのブラジルでの「手摘み」「完熟」質問に応えて。
雨期乾期が、はっきりしている彼の地では「開花」時期が1~2週間のうちにほぼ一斉で、その後の生育状況の差もあるが、毎年6~7月に収穫している。
この辺りの話は色んな本にも出てくるから単なるマエフリ。

自分のいた農園で、牧場を挟んで他のコーヒー植え付け地より標高で100m程高い圃場が1カ所あった。

わずか100m差とはいえ、他よりも開花・生育は少し遅い(標高が高いほど味が強く高品質の可能性が高い)。
それでいつも、収穫は1番最後で8月以降にずれ込んでしまう。

でもさすがにこの頃となると、樹上で完全にチェリーが完熟してひからびてしまっている。
当時はそれが、味覚と大きく関わっていることなど知るよしもなかった。

農園としても特にロットを分けて精選してもいなかったし、特別な物と言うような取り扱いはしていなかった。

大農園ともなると何百万本、その隣の農園も同程度、そのまた隣りも…
みんな一度に収穫が始まって、人集め自体一苦労。

収穫の遅くなった地域は嫌が上でも樹上完熟してますよ。

自分のいた農園でも最盛期になると2つの天日乾燥場じゃ間に合わず
労働者用のサッカーグランドも急場の乾燥場になった。
通常は2週間ほど乾燥させてからドライヤーで水分12%程度に調整して脱殻するが、雨模様だといきなり収穫品をドライヤーに放り込んだりと24時間態勢で品質無視に近かったな。

今なら恐らく、冒頭で記した、あの1カ所だけの単一ロットなら樹上完熟品としてかなりのプレミアムが付いたことだろう。

こんな時代から、今のプレミアム、スペシャルティへと移り変わってきたのだが、1にも2にもロット管理が大前提で、これが出来る農場となると、家族単位でやっているような小農場か、あちらこちらにいくつも農場や精選設備を持っている、大農場かのどちらかじゃないかな。

最初のブラジル・カップエクセレンスで上位入賞農園を見て驚いた。
自分が普段買っている農園が、3つも入っていた。
これらの農場は、輸出まで自社で手掛けているほどの大農園で、
さぞいい宣伝になったことだろう。

タイトルのスペシャルティ考は、実体験を元に自分なりの解釈を書いているまでで、違っていたらごめん。
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13:20 | スペシャルティ考 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
スペシャリティ考 2 | top | 収穫機

コメント

#
早速のお応えで、本当になんと言っていいか、ありがとうございます。

>実体験を元に自分なりの解釈を書いているまでで、違っていたらごめん。

全くそんな事はなくて、その貴重な実体験の解釈をおうかがいしたいわけですから、ぜひぜひ「自分なりの解釈」でよろしくお願いいたします。

堀口さんが本の中で盛んに「テロワール」と言う事をおっしゃっていまして、
ブドウの栽培に使う言葉らしくて「微気候」とでも言いますか、地形などのわずかな違いが作物に影響するから大切だと強調しておりました。
たった100mがこれほどにコーヒーを変えるとは、、、驚きです。
そして、それに着目して管理ができるかどうかが問題なのだと、、、

「サッカーグランドも急場の乾燥場になった」り、「いきなり収穫品をドライヤーに放り込んだり」リアルなお話ですね。

続きも楽しみです。よろしくお願いいたします。
by: とんきち | 2005/12/16 22:53 | URL [編集] | page top↑
#
>地形などのわずかな違いが作物に影響するから大切

あの人の大風呂敷はあまり好きじゃないが、ハワイでの栽培と味覚検討等のテーマは俺の一番やりたかった事だ。
うらやましい。

by: UGQ | 2005/12/17 06:41 | URL [編集] | page top↑

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